思い描くは空と風
そうだ そんなふうに
生きたいんだ
喉の奥で
くすぶる唄
言葉もメロディーも
与えられぬまま
真っ赤な花束抱え
命尽きるのを知りながら
それでも抱えた悪い腕で
ぎゅっと抱きしめた
ここから出して
悪い夢なら醒めて
飛べない羽をばたつかせ
明日が見たい
叫べ
次の風が吹いたら
今度こそ 走り出したい
泣いて泣いて...
優しい愛で
満たされているのに
何ひとつとして
返せない
走り出せない足
傷跡だらけの腕
裸足になれない足
今なお疼(ウズ)く腕
ひとり唄ってみた
馬鹿げていると知りながら
泣けない代わりにこの声で
風を起こせたらと願った
もっと愛したい
強さを携えて
月夜に照らされる白い花
しなやかに揺れる
ここから出して
悪い夢なら醒めて
だけどこの足で走り出して
明日を愛せるように
叫べ
いつの日か見せるよ
揺らがない強さを
だってこんなに愛してる
this is love song for you&you.
special thanks to.
我が子の命 目前で(朝日新聞05.1.28)「かわいい女の子の赤ちゃんよ」そう告げられた直後、妊娠7ヶ月で無理矢理取り出された我が子が、目の前で命を奪われた。国立ハンセン病療養所などに、人工早産や人工流産などによると見られる100体以上の胎児や新生児が保管されていることが27日、明らかになった。
41年7月、医師から呼び出され、いきなり手術場に連れて行かれた。体が震えだし、頭が真っ白になった。
手術台に両足を結ばれて、両手と頭は看護婦2人に押さえつけられた。手術器具がぶつかり合う音の中で気を失った。
ほおをたたかれて、目が覚めた。「かわいい女の赤ちゃんよ」髪は黒々としていた。しかし看護婦は「かわいそうだけど、恨まないでね」と言いながら、仰向けになった赤ちゃんの鼻と口に厚いガーゼを当てて、手で押さえた。
赤ちゃんは両手両足を上下に動かしていた。へその緒も動き、声も出しているような気がした。かたく目をつむり、二度と見ることはできなかった。
療養所で結婚した人は、中絶や断種手術を受けなければならなかった。
髪が生え、性別が分かるほどに成長した胎児は、ホルマリン漬けにされ標本として療養所内に保管された。
その場で断種手術が行われ、夫は看護婦からガーゼでくるんだ妻の胎盤を手渡された。
草が生い茂った療養所内の一角に、穴を掘って埋めた。
夫が妻の胎盤を埋めるのは慣例だった。
そこには死亡してから解剖された入所者の足なども埋められていた。
おじい、おばあ ごめんね。
私たちは無知すぎた。
ううん。無知すぎる。
おじい、おばあ 本当にごめん。
戦争のこと。
ハンセン病のこと。
無知すぎてごめん。
考えるよ、おじい おばあのこと。
ちゃんと想うよ。
本当にごめん。